頭痛は日常的によく経験される症状の一つです。しかしながら日常の生活の質に影響を及ぼし、支障をきたすことで、看過してはならない疾患と考えます。また、ときにくも膜下出血、脳腫瘍など放置すると生命にかかわるこわい頭痛があります。これらを正確に診断して、治療方針を迅速に決定することが何より大切と考えております。
認知症による物忘れが年齢相応の物忘れと違う点は記憶の内容が固まりとして抜けてしまうことです。例えば、一週間前に親族の結婚披露宴に出席したこと自体を全く忘れる(通常は隣に席にいた人の名前が思い出せないなどはよくあることですが)といったことがあれば、以下の項目についてチェックされることをお薦めします。
ぐるぐるまわる、ふわーっとする、ふらつく等様々な症状があり、時にパニックに陥りそうな激しい症状がくることもあります。これらの症状は内耳に原因のある末梢性のめまいと脳に問題のある中枢性のめまいに大別されますが、まずこれらをきちんと区別して、その原因を詳しくご説明いたします。
また、ガンマナイフによる500余名の聴神経腫瘍の治療より、多くの方がその初発症状としてめまいを経験し、それが見過ごされてきたことを見てきましたので、MRIでのチェックも大切と考えております。
食事、洗面、歯磨きのときに顔の片側に激しい痛みが走ることがあります。多くの場合は顔の感覚を司る三叉神経を血管が圧迫していることが原因です。これは三叉神経痛といわれ、薬の服用で収まりますが、その後多くは再発し、ブロック治療、手術、ガンマナイフなどの治療法が必要になってきます。ガンマナイフによる250名余の治療経験からお一人お一人に最適な治療方針を提示させていただきます。また、顔面のぴくつきに関しても詳しく述べます。
パーキンソン病は歩行障害を呈する代表的疾患です。動作が緩慢になり、立ち上がるのに時間がかかるようになり、歩くスピードが遅くなります。腕の振りも少なくなります。バランスを取ることが難しくなり、転びやすくなります。表情も乏しくなります。ときに、手や指に震えがくることもあります。何かしようとすると震えが強くなるというより、座っているじっとしているときにでも見られて、ピル・ローリング(薬を丸めるような震え)振戦と言われています。残念ながら根治する治療法はまだ見つかっていませんが、種々の薬で症状の進行をある程度抑え、生活の質をよくすることができます。
手足のしびれは首や腰の骨の変形による神経への圧迫などが原因で起きることがありますが、脳梗塞や脳腫瘍などの脳の病気でも起きることもあります。また、末梢神経障害や糖尿病などの代謝障害などもかかわってきます。詳しい神経検査とともに、首や腰の神経をMRIで調べることは大切です。
3大死亡原因の1つである脳血管障害(脳卒中)は早期の治療にもまして、その予防がもっとも大切です。脳ドックにより、かくれ脳梗塞(無症状の小さな脳梗塞)の有無や、脳の萎縮の度合い、さらに脳や頚部の血管の状態を見ることにより、将来おきうる重症の脳梗塞や、認知症などに対し早期の予防対策が可能となります。
半世紀近く前、私が脳神経外科医になったころは脳卒中と言えば脳出血が多かった時代でした。その後、脳梗塞が増え、現在は脳出血の頻度は減少しています。日本脳卒中データバンク報告書2021年によりますと病型分類で脳梗塞は全体の72%、脳出血は20%と脳梗塞が圧倒的に多くなっています。脳出血が少なくなった要因としては、血圧の低下と総コレステロールの上昇があると考えられております。